よしき君の発見

  その日、小学三年生になったばかりのよしき君は大好きなおばあちゃんと街のデパートに買い物に来ていました。
 一通り買い物も終わり、よしき君とおばあちゃんはデパートの食堂で昼ごはんを食べました。おばあちゃんは天丼、よしき君はカツ丼でした。そして二人でデザートにヨーグルトフルーツパフェを食べました。
「おいしかったね、よしき」
「う・・うん」
よしき君はうつむき気味に答えておなかを押さえました。
おなかに鈍い痛みを感じましたのです。
カツ丼を食べておなかいっぱいのところにヨーグルトフルーツパフェまで食べて冷えたよしき君のおなかが急に動き出したのです
ギューッというおなかのなる音も聞こえました、
「どうしたの、おなかを痛いの?」
「うん、トイレに行きたい」
よしき君はすぐにうんちもしたくなりました。
どうやらおなかを少し壊したようです。
「行ってらっしゃい、長くなりそう?」
「うん」
「一人でいってこれる?」
「うん」
「じゃあ、おばあちゃん、ここで待っているから」
「うん」
よしき君は走って大急ぎで食堂脇の男子トイレに向かいました。
その男子トイレは4つ個室がありますが、
よしき君は他の個室には目もくれず、一番奥の個室に向かって走っていきました。
よしき君はここのトイレは前にもおばあちゃんと何回か来たことことがあって、
一番奥が洋式で他が和式であることを知っていたのです。

よしき君は和式のトイレが苦手でした。
家も幼稚園も洋式で、和式を使ったことがなかったのです。
でも学校は和式のトイレしかありませんでした。
それでよしき君は学校のトイレではうんちをしないようにしていました。
学校でしたくなっても、いつも家のトイレのことを思い出して我慢していました。
よしき君は家のトイレが本当に好きです。
ゲームをしているときや本を読んでいる最中にうんちがしたくなったら、
本やゲーム機をトイレに持ち込んで続けました、
便座の上に裸のおしりを乗せると暖かくてやわらかい便座の当たる感覚が気持ちよくて、
うんちが終わってもしばらくそのまま本を読んだりゲームをしていました。
そして「いつまでトイレ入っているの、よしき!」とお母さんに怒られるのはいつものことでした。

でも、入学して以来、学校でうんちを我慢できなくなったことが、
二回ありました。

一回目は一年生のときで入学して2日目のことでした。
授業中に我慢できなくなって、
幼稚園のときのように「先生、トイレ!」と手を上げて行ったのはよかったのですが、
トイレに行ってドアを閉めて鍵をかけたら、
急に真っ暗になりよしき君は怖くなりました。
しかも、そこにあったのはいつも使っている座る洋式でなくて、
しゃがむ和式でした。
和式の使い方は、入学式のその日に先生がしゃがむポーズをとって教えてくれたのですが、
その地面に埋め込まれた白い陶器の底の平たい部分にうんちをすると思うと、
どうしてもできず
決心が付かないまま、よしき君はズボンも脱がずにその白い底をしばらくじっと見ていました。
そうしている間にも、うんちをしたい感じはどんどん強くなり、
もうぎりぎりになって、よしき君はまずズボンを脱ぐことを決心しました。
でも、着慣れない服なのでズボンのボタンが簡単にはずれず、
はずそうととしている間によしき君の我慢は限界を迎えたのです。
パンツの中は生暖かいものでいっぱいになり、
よしき君は気持ち悪さと恥ずかしさでその場で泣き出してしまいました、
幸い、よしき君がいつまでも教室に戻ってこないことが気になった先生が来てくれて、
保健室で後始末してくれたのですが、
結局よしき君は教室に戻らず早退しました。

二回目は去年、つまり2年生の冬でした。
おなかにくる風邪が流行し、よしき君もそれに感染したのです。
学校に行く前の朝のうんちで下痢でしたが、
全部出てすっきりしたので、もういいだろうと思い、そのまま学校に登校しました。
ところが1限目からもううんちがしたくなりました。
よしき君はいつものように我慢していましたが、
2限目が始まるとすぐにぎりぎりのところにきてしまいました。
おなかもいつになく痛いし、おまけに熱で少しふらふらするし、
とても終業まで持ちそうもありませんでした。
どうしようかと困っているところに、
先生が具合の悪そうなよしき君を見つけました。
ひたいに手を当てて
「熱が少しあるわね、風邪をひいたかもしれないわ。
 とりあえず保健室にいって休んできなさい。
 後でお母さんに連絡してお迎えに来てもらいます。」
と言いました。
すぐによしき君は教室を出て保健室に向かいました。
歩いている最中も、だんだんうんちはおしりの穴まで近づいていました。
おなかの痛みも増しています。
よしき君はトイレの前に来ました。
授業中なので廊下もトイレの中も誰もいません。
学校でするのは恥ずかしいですが、
今なら、休み時間のようにうんちしているところを見つかってからかわれることはないのでチャンスでした。
よしき君は決心してトイレの個室に入り、鍵をかけ、
まず一気にその場でズボンとパンツをおろしました
前の一年生のときと違って今度は二年生なので、おもらしはできません。

しかし、相変わらずよしき君は和式でしゃがんでする決心がつかず、
脇からしばらく便器をみていました。
よしき君の学校ではどの個室にも「わしきのつかいかた」というポスターが貼ってあるのですが、
その中に和式トイレを使っている男の子のイラストがありました。
洋式は使っていえる最中はおしりが見えませんが、
和式にしゃがむとイラストの男の子のようにおしりが丸見えで、
しかもここは学校ですから、みんなの前でうおしりを出しているようで、
とても恥ずかしいことによしき君には感じられたのです。
しかも便器の後ろを見ると下の方に隙間があって、
そこからのぞかれるとおしりが丸見えでした。

結局、よしき君は後ろの方を向いてしゃがみました。
まずおしっこです。
しゃがむときにいつも家のトイレに座るときのようにおちんちんを押さえて、
便器の一番後ろにねらいをきちんと定めたのですが、
それでも勢いがよくてすぐに便器の後ろの床の部分に水溜りが広がっていくのが見えました。
あっ、まずいと思って、少しよしき君はあとずさりしました。
それからすぐにうんちも出てきました。
風邪からくる下痢だったので、
まるでおしりからおしっこがでてきたかと思うくらい、
水のようなうんちが吹き出すように出てきました。
それでもうーんと一気に出そうと、よしき君はおなかに力を入れました。
おならとともに激しい勢いでうんちが出てきて、
その瞬間ビシャッという床を叩きつけるような音がしました。
その後をうんちはなかなか終わりませんでした。
終わったかと思うと、おなかが少し痛くなってまた出てくるのです。
それでも、よしき君のうんちはようやく終わりました。
トイレットペーパーでおしりを拭こうと振り返ったとき、
風邪で少し青かったよしき君の顔は本当に真っ青になりました。
おしっこをしている最中に後ろに下がったときに、
あまりにも下がりすぎて、しかもおなかを壊していたので、
出てきた水みたいなうんちが前の丸い部分を派手に汚していたのです。
よしき君の熱で少しぼーっとしていた頭はそれを見てすぐに真っ白になり、
どうしていいかわからなくなりました。
「わしきのつかいかた」には便器の周りを拭いている男の子のイラストといっしょに
「よごしたらトイレットペーパーをつかってじぶんでふこう」と書いてありましたが、
結局、よしき君はそのままにしてしまいました。
誰かに見つからないように、
トイレットペーパーでおしりを拭くのもそこそこに
大急ぎでパンツとズボンを上げると、
そのまま水も流さずに逃げるようにトイレを出て保健室に向かいました。
途中よしき君は風邪に加えて自分がトイレを汚してしまったのが汚くて、
吐き気がしてきました。
「先生、吐きそう」と言って保健室のドアをよしき君は開けました。
「これに吐きなさい」と養護の先生は洗面器を大慌てで持ってきました。
よしき君はその場で洗面器に朝食べたごはんを戻しました。
養護の先生はその間背中をさすってくれました。
よしき君は楽になると、担任の先生から熱があるからここに行くように言われたことを話しました。
養護の先生は体温計を出してきて熱を測りました。
「確かに熱があるわね、お母さんが来るまで、
 そこのベットで休んでいきなさい。
 ところで、最近の風邪はおなかに来るのよ。
 よしき君、おなか壊していない?」
「うん、さっきトイレに行ってきた」
よしき君はそう答えました。
いくらやさしい養護の先生でも、トイレを汚したまま出てきたことは恥ずかしくていえなかったのです。
それから、よしき君は保健室のベットで横になりました。
ついたてで仕切られた保健室のベットのある一角は、静かで、カーテンから柔らかな日差しが差し込んでいました。
保健室のベットは家のベットよりふかふかでした。
ほんのりと消毒薬のにおいもして、さっき汚してしまったトイレと同じ学校の中とは思えないほど、そこは清潔ですてきな場所でした。
よしき君はそのときはそれまで起こったことを熱が出ていることも忘れて、
うっとりした気分ですこし眠りました。

「おかあさんが迎えに来たわよ、来なさい」
担任の声で声でよしき君は目が覚めました。
よしき君と担任の先生はまずランドセルを取りに教室に向かいました。
出るとすぐにチャイムが聞こえました。
ようやく二限が終わったのです。
二人がトイレの近くに差し掛かったそのとき、
同じ二年生の別のクラスの男子が走ってきて言いました。
「あっ、先生、男子トイレがうんちで大変なことになってる!」
見ると男子たちが、さっきよしき君の使った個室の前に集まって騒いでいました。
「誰、あんな水みたいなゲリベンしたの?」
「きたねー、くっせー」
「おしっこまで・・・赤ちゃんみたい」
間違いなくそれはよしき君のものでした。
その中には、よしき君と同じクラスのいつも遊んでいる子までいました。
よしき君はその男子たちの騒ぎはじっとうつむいたまま見て見ないふりをしました。
よしき君はすぐに下痢がなおって熱が引いたに関わらず、
気分が悪いのだけが続いて、結局それから三日間休みました。

そんな学校での失敗もあって、
よしき君はデパートでも和式には絶対入りたくなかったのです。
しかし、駆け込んできたよしき君の目の前に「洋式」と「使用中」と書かれた2枚のプレートが貼り付けられた若草色のドアが立ち塞がりました。
しかも、食堂脇の男子トイレは、内からドアを閉めるようになっているのですが、
入り口から見て前の3つの和式は開いているのに、
一番奥の洋式だけ使用中だったのです。
よしき君はその閉まっているドアをノックをしました。
でも、返事はありません。
またドアをノックをしました。
それでも返事はありませんでした。
誰かがいたずらして外から閉めたのかな、と思ってドアを力をこめて押してみました。
ドアはびくともしませんでした。
仕方がないのでしばらくドアの前で待つことにしました。

「よしき、まだ終わらないの?」
外からおばあちゃんの声が聞こえました。
「うん、トイレが開かない」
よしき君は答えました。
「本当に長くなりそうね、おばあちゃん、トイレの脇のベンチで待っているから」
よしき君はそのまましばらく待ちました。
でもドアはなかなか開きません。
よしき君は足が疲れてきたのとおなかが痛いのでその場にしゃがみました。
そして本当にドアの向こうに人がいるのか確かめるために、
下のドアの隙間からドアの向こうをのぞいて見ました。
紐の入った大きい靴なので大人に違いありません。
しかも、いびきの音が聞こえてきたので、
その人は寝ているようです。
よしき君はどうしようと思っていたとき、
「坊や、どうしたの」と掃除のおばさんが声をかけてくれました。
「ずっと待っているの。けど、大人が入っているみたい・・・」とよしき君は答えました。
「他は開いているじゃないの?」
「しゃがむのはいやだよ」
「どうしてもいや? 開いているからしゃがむ方でしてしまえばいいのに・・・」
「どうしてもいや」
「仕方がないわね」と言って掃除のおばさんはドアをノックしました。
反応はありませんでした。
もう一度掃除のおばさんはノックしました。
「入っています」
はじめて、向こうから明らかに少し寝ぼけた大人の声が聞こえました。
「すみません、でも、子どもさんが待っていますから・・・。」
「すぐ出ますから、もう少し待ってください」
その大人の声はよしき君にはいらいらするほどのんびり聞こえました。
「坊や、もう少しで終わるそうだから、ガマンできるよね」
よしき君は「うん」と返事しました。
えも、本当はかなりぎりぎりで入っている大人が出てくるまで、
ガマンできる自信はありませんでした。
返事を聞くと、掃除のおばさんはさっさと開いている個室のトイレットペーパをチェックして出て行きました
するとドアの向こうからはまたいびきが聞こえ出しました。

掃除のおばさんが出て行ったあと、
よしき君はしゃがんだまま、開いている隣の個室の和式便器をじっと見ていました。
よしき君の頭はもう結論を出していました
あの底の平たい部分におなかの中にたまっているものを全部出してしまえば、
すっきりするのです
口から出すならば、よしき君もすぐにできるのですが、
あの「わしきのつかいかた」の男の子のように
ズボンとパンツを下ろしおしりを出して、この便器の上にしゃがまなければ出せません。
よしき君はそうして目の前の便器にしゃがんでいる自分の姿がはっきりと想像できました。、
そのトイレもドアの下だけでなく個室を遮る壁の下にも大きな隙間があるのですが、
その姿はまるでその隙間に向かって
わざわざおしりや出てくるうんちを見せているみたいで、
よしき君は恥ずかしくて仕方ありませんでした。
しかも、もっと恥ずかしいことに、
そういうことをしなければならないのがよしき君には間近に迫っているのです。
そのとき、よしき君の頭には下の階のトイレに行けば洋式が開いてるかもしれない、
というアイディアがひらめきましたが、
もう、それは遅かったことに同時によしき君はすぐにわかりました。
階段を降りている間やエレベータを待っている間にもらしそうでした。

そうしてよしき君が便器を前にして悩んでいる最中に、
誰か走って近づいてくる足音が聞こえてきました。
よしき君と同じくらいの知らない男の子でした。
その子は走りながらおなかを少し押さえていました。
そして「はら痛てぇ、うんち出そう・・」とひとりごとを言うと、
よしき君には目もくれず、まっすぐ前から二番目の個室に飛び込んでいき、
バタンと大きな音を立てて勢いよくドアを閉めました。
それを見てよしき君はドキドキしてきました。
その男の子がうんこするところを見たくなったのです。
実は、よしき君は友だちと休み時間に学校の男子トイレで誰かが入っている個室を見つけると、
下の隙間からのぞくといういたずらを何度かやったことがあります。
でも、そういうときはみんなこっそり入ってくるので、
目の前で自分と同じくらいの男の子が個室に入るという光景をこんなにはっきりと見たことがありませんでした。
よしき君もデパートのトイレででそういう光景を見ていたのかも知れませんが、
大人たちがいることもあって、学校と違って気になりませんでした。
でも、その時は、自分がもれそうということもあって、
その男の子にいつもとは違う好奇心が沸いてきたのです。

よしき君はこっそりその子が入った二番目の個室の前に行き、
そっとドアの下の間からのぞきました。
最初は脱ぐのに手間取っているのか、運動靴しか見えませんでした。
その間、自分がのぞいているのを気付かれたのかと思い、
よしき君はドキドキしました。
でも、やがて下ろしたズボンが運動靴の足元を覆って、
目の前に丸出しのおしりが降りてくるのが見えました。
よしき君は自分の目の前におしりが現れたことに、
おもわずコーフンして息をのみました。
でも、自分がするときも誰かにあんなふうに丸出ししているところを見られるのを想像すると、よしき君はまるで自分の事のようにそれが恥ずかしくなりました。

その子はおしりを出すと、安心したのかぷぅという甲高い音のおならを一発して、
その音は器楽部の六年生のお姉さんが吹き底なったクラリネットのようにあまりに高かったので、
よしき君は思わず笑いそうなりましたが、がまんしました。
続いておしっこをしました。
出てくるところは下ろしたズボンに隠れて見えませんでしたが、
その子はおしっこもがまんしてらしくジャーというとても大きな音が聞こえました。
おしっこも終わりかけた辺りから、その子はうーんといきみ始めました。
そして、茶黒くて太いかたまりがゆっくりと肌色のおしりから出てきました。
よしき君は自分他人関係なく、
こんなにはっきりとうんちが出てくる光景を見たのは初めてでした。

よしき君は昆虫、特にヘラクレスやコーカサスカブトムシのような巨大な甲虫類が大好きで、
よく昆虫図鑑を買ってもらったり、
レンタルから昆虫関係のDVDをお父さんから借りてもらって見るのですが、
一度、実物を手に乗せて動くのを見てみたいと思ってみました。
その子のうんちの出てくる光景は、まるで巨大な甲虫類のさなぎが
脱皮寸前でぞもぞ動くのをその子に手のひらの中に乗せて見せてもらっているように見えました。
途中、その子は何度かいきみましたが、まるで無言で手の上の動くさなぎに見入っているときに洩らすため息のように、
どこか気持ちよさそうでした。
よしき君は自分がうんちしたいのも忘れてだんだんドキドキしてきました。
「わぁ、すごいぞ」と思わず言いそうになりました。
でも、ポチャという音がして、うんちは見えなくなりました。
そして「ふうーっ、大きいのが出たぞ」とその子はつぶやきました。

そのとき、その子のお母さんの声が聞こえました。
「しょうた、お母さんが入れないけど大丈夫? おなか痛いのなおった?」
「うん、直った、すっきりした!」
その子の声は本当に爽やかそうでした。
よしき君はその声を聞いて自分が恥ずかしくなりました。
最初、いくらドアの向こう側でも、自分の見ている前でよくしゃがんでおしりを出す恥ずかしいことをできるな、少し馬鹿にしていたのですが、
このままだと自分の方がもっと恥ずかしいことになりそうなのです。
その点、自分より先に入ったその子の方がずっと大人だと思いました。

紙が持った手がおしりのところにのびてくるのが見えました。
その子はトイレットペーパーでおしりを拭き始めたのです
もうすぐドアを開けてでてくるでしょう。
よしき君自身もがまんの限界まで来ていました。
もうこれ以上のぞいていられません。

よしき君は決心して急いで隣の個室に飛び込み、
便器をまたぎズボンとパンツをおろしてしゃがみました。
今回は前回の失敗に懲りて、きちんと前の方に向きました。
それでもまだ壁の隙間が気になりました。
なんか、しゃがんだときに隙間から風がおしりにあたるような気がして、
それに気になって仕方がなかったのです。
よしき君は、あの子の場合、ぺったりと地面にかかともつまさきもつけてしゃがむから、
下からのぞくとおしりが丸見えになると思いました。
前のコックを握り体重をかけて、
つま先をたてて中腰ぎみですれば見えないはずです。
そういう姿勢を取ると、よしき君はうーんといきみました。
最初に出たのはおならです。
がまんしている最中にたまったせいか、
あの子のとは比べ物にならないくらいほど大きい音がしました、
男子トイレ全体に響いたかもしれません。
すぐにそれに押し出されたかのようにうんちも出ました。
ポトッという音がしたので、足の間から見ると、カブトムシの幼虫を一回り大きくしたひらがなの「つ」の字のようなもの一つ、
便器の底の水が出てくる穴の近くにころがっていました。
においはそんなに強くなかったです。
よしき君は洋式とくらべて和式はうんちまで全部丸見えで、
いやだなと思いました。
それに、もちろん入る前よりはラクになりましたが、爪先立ちになったせいか、
おなかに力が入らなくて出きらずに、

まだ少しおなかの痛みも残っているような気がしました。

そのままよしき君は数回いきみましたが、
出てきてもおならばかりで、なかなかうんちは出てこなくてすっきりしません。、
後は家かきちんと洋式が開いているトイレでゆっくりすればいいと諦めたゆうき君は、
立ち上がりトイレットペーパーをちぎっておしりを拭きました。
すると急におしっこをしたくなりました。
うんちもまた出てくるような気がしました。
また、よしき君は便器をまたいでしゃがみました。
今度は爪先立ちはしません。
疲れたしすっきりできなかったので、あの子のようにかかとをつけてしゃがみんでみることにしました。

しゃがむとき、よしき君は和式にも一ついい点があることを発見しました。
それはおしっこがおもいっきりできることです。
幼稚園の頃は洋式に座っている最中おしっこをすると、
便器のはるか前におしっこが飛んでトイレを汚し
お母さんに怒られました。
特にうんちのときは、
よしき君の場合どういうわけかおちんちんが少しかたくなって、
普通に小便器に向かってするよりおしっこの勢いが強いので、
よくトイレを汚しました。
今はそういうことはありませんが、
外に飛ばないように注意しながら、
しっかりおちんちんを手でおさえつけておしっこするのは、
締め付けているみたいで気持ちがよくないとふだんから感じていたのです。
でも、この和式ならば
手をはなしておしっこしても、
前の丸くへこんだところに当たるので、
便器から外におしっこを飛び出す心配はありません。

よしき君は完全にしゃがみ終わると、
おなかに力を入れて、
ただ、おしりの穴とおしっこの管をおもっきり開くことだけ考えました。
洋式のときのようにおちんちんを押さえておしっこがどこに飛ぶかということも考える
必要もなかったし、
自分がそのときどういう姿かも考えていませんでした。、
うんちの方はすごい派手な音のおなら混じりのやわらかいものだったので、
両方とも勢いよくいっぺんに出ました。

よしき君はその日の朝にうんちが出なかったことを思い出しました。

最初出たのが朝残った分で、今出ているのがお昼の分みたいです。
やわらかいうんち独特の酸っぱいにおいはかなり強烈でしたが、
その二つがいっぺんに出る気持ちよさで気になりませんでした。
こんなに二つがいっぺんに出ることが気持ちがいいなんて、
よしき君は初めて知りました。

よしき君には昆虫にとても詳しい年上のいとこがいます。

その子のお父さん、つまりよしき君のおじさんも大の昆虫好きで、

泊りがけで遠くの森に昆虫採集に連れて行ってもらうことがあるそうですが、
森の中はトイレがないことも多くて、朝早いので、

外でうんちすることがよくあるそうです。

その子は、外でするのはとても気持ちがいいと言うのを、

よしき君は聞いたことがありました。

一度よしき君もおじさんに昆虫採集に連れて行ってもらおうと思っていたのですが、

いくら森の中でも外でうんちするなんて誰かに見られるような気がして、

イヤだなと思いました。
もしかすると、そのときの気持ちよさはこういうものかもしれないと、
よしき君は思いました。
確かに森の中ならば、おしっこがいっしょに出ても前方のどこかに飛んで何かを汚す心配もなかったのです。

そして、両方とも終わると、よしき君は本当に一気におなかの中がからっぽになったようなすっきりしたような気分がしました、
そして、どのくらい出たか確認するために足の間から便器を見ました。
やっと見えたのは最初にでたうんちだけです。
音が本当に派手だったので、出たのは本当はほとんどおならで、うんちはちょっぴりじゃないか、
よしき君はそのときは思いました。
でも、そのにおいはかなり強烈に残っていて、

おならだけではとても思えませんでした。。

 

気になって、そのにおいのする方向を振り返ると、
よしき君は真っ青になりました。
便器の底でなく、便器のふちと床の間に黄土色のまるでソフトクリームのようなうんちが盛り上がっていたのです。
二度目のしゃがむときに後ろに下がりすぎて、はみだしてしまったのでした。

 

そのとき「わしきのつかいかた」にも「できるだけ前に」と書いてあったことを、よしき君は思い出しました。
その下に前の方にしゃがんでいる男の子の絵の上には大きな○、
後ろの方にしゃがんでいる男の子の絵の上に大きな×が描かれていて、
しかも後ろの方にしゃがんでいる男の子のおしりの下の部分はなんか茶色いものがある、イラストがあったのです。

よしき君はそのまま立ち上がってトイレットペーパーをちぎり、
自分のおしりを拭くと、
今回こそ便器からはみ出したうんちを始末しようと決心しました。

いとこによると森の中でうんちするときでさえも、

穴を少し掘って、そこにしてから埋めるそうです

たくさんの知らない人に見られるデパートでうんちをそのままにしておくのは、

おしりを見せるのよりもっと恥ずかしいことだと思ったのです。
そして、そのトイレットペーパーをちぎり、

思い切ってうんちを便器に落とそうとしました。
でも、トイレットペーパーを間に挟んでですが、

指がうんちにふれた瞬間とても気持ちが悪いどろっとした感触がしました。
しかも、顔を近づけてしまったので、

鼻に飛び込んできた酸っぱいにおいも強烈で、
よしき君は思わず吐きそうになり、これ以上できませんでした。

洋式しか使わないよしき君は、

こんなに近くで自分のうんちを見たことも触ったこともなかったのです。

よしき君は結局、風邪を引いたときと同様に自分で始末できず、
水で最初のうんちだけを流してにっそりとトイレを出ました。、
幸い、隣の洋式トイレの大人が相変わらず寝ている他は
だれもいませんでした。
よしき君は大急ぎで近くのベンチに座っているおばあちゃんのところに向かいました。
「どう、おなか痛いのなおった」
「うん」
「どうしたの、顔が少し赤いわ、熱あるのかしら」
おばあちゃんはよしき君のおでこに触りました。
「ないわね」
本当はよしき君は自分が残してきたうんちが知らない人に見られると思うと恥ずかしくて仕方がなかったのですが、

そのことはとてもおばあちゃんにも言えませんでした。
その一方で、学校ではまだできそうもありませんが、

次にデパートでうんちしたくなったら、
もっと前にしゃがめば和式でも大丈夫かな、

とよしき君は思うようになったのも確かです。